川村驥山
川村驥山は明治15年静岡県袋井市に生まれます。杉並区で30年以上掛軸、硯などの買取、査定をしています当社も出張買取で伺うことがあります。同時代の書家は比田井天来、尾上柴舟、二世中村蘭台などがおります、西川寧、青山杉雨の少し先輩といったところでしょうか。川村驥山は12歳にして孝経全文暗書を行い明治天皇の展覧を授かります、他にも出師の表、論語も暗書していました。尋常小学校4年を2年で卒業するなど早熟の天才書家でもあったようです。
その後小室屈山に師事し犬養木堂(毅)、田中光顕と知己を得ます。川村驥山は交友関係も広く剣道家の中山博道に書道を教えたこともあります。また橋本関雪と友情を育み「君は画で行け、僕は書で行く」と誓い合った逸話もあります。大江卓(後藤象二郎の娘婿)の食客となった時には伊藤博文、板垣退助らと知り合っています。大正14年豊道春海らと共に日本書道作振会に参画し昭和7年に「東方書道会」を結成します。その後日展審査員、日本芸術院賞受賞、長野県文化功労章、日展理事を経て驥山館を開館します。勲三等瑞宝章を受章した4年後逝去します。
川村驥山は16歳にして全国行脚を始め全国の文人、画家、政治家と関わりを持ちます、江戸期に儒学者、剣豪などが己の研鑽のため全国行脚した文化が残っていたのかもしれませんが書家を泊めてもらうためには相応の能力がなければ難しかったことかと思われます、その点川村驥山は書家としては天才的な能力がありそれが一流の人間と交流できた証左なのでしょう。また大変な酒豪で自らを「酔仏」と称しました(酔ったらほっとけ、という素敵な洒落にもなっていたようです)。晩年は無心で書道作品を書き良寛の「一二三四五六七」を好んでいたようです。この時代は江戸時代の人物、江戸期の交遊方法などが残っており川村驥山に侍の生きざまを感じてしまうのもイチ歴史ファンとしては楽しい逸話です。
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