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印材
2020.04.05

【鶏血石の売却】印材を買取業者に売るための予備知識とは?

 

 

上記鶏血石の買取参考価格15万円

 

鶏血石(けいけつせき)の売却について

鶏血石は書道家や篆刻家にとっては馴染みのあるものですが多くの方にとってはあまりよくわからないものだと思います。そもそも「鶏血石」という呼称自体が「鶏」を殺した「鮮血」を想起させ何かおどろどろしさを感じる方も少なくないのではないでしょうか?そのような鶏血石がご自宅にある場合は殆どが書道家、篆刻家の方のご遺族である場合か印材の蒐集家、古美術品の蒐集家であると思います、そして鶏血石を売りたい方も多いと思いますがどのようにして売ったらいいのかわからない方も多いと思います。ここでは一見とっつきにくい鶏血石についての説明と売却するときのポイントについて説明していきたいと思います。

 

鶏血石とは?

鶏血石とは中国四大名石のひとつとして著名な石です。中国の印材は他にも格調と品の良さが見どころである「青田石」や豊富な種類があり印材の種類も産出量も圧倒的な数があり印材の中でも代表的な人気を誇る「寿山石」や比較的時代の若い石が多い「巴林石」や鶏血石で有名な「昌化石」に分かれます。印材は主に中国で産出され上記印材は時の皇帝、権力者に愛玩され続けた歴史があります、中国の首相が田黄を蒐集していることも有名ですが外交にも使われることもよくあり1972年の日中国交正常化条約では周恩来から田中角栄に贈られた逸話もあります。そのため書道家だけでなく多くの古美術品愛好家が鶏血石を買い求めるようになり現在も鶏血石は存外目にすることが多いです。また鶏血石は田黄や芙蓉石のような気品さとは違いある種毒々しさのような魅力もあり、日本人である私から見るとある種不気味な感覚もありますが中国人にとってはそこが大変な魅力であり他の印材にはない見どころがあるところから「石の皇后」とまでいわれております。

 

鶏血石の特徴

鶏血石は浙江省が産地で昌化石の一種です。昌化石は鶏血石以外にも赤、黒、黄など何色も混ざった多色昌化石や青色を基調とした封門石などや血の色が存在しない昌化石などがあり昌化石は赤が少ないため不純物がなく篆刻用としては優れた石であるため古来より多くの篆刻家に珍重されてきました。そのような中鶏血石だけはその鮮麗な赤色により印材の王様と言われる田黄石と並び称されており昌化石の中でも、いや数ある印材の中でも別格の輝きを放っております。

鮮烈な「生血」と呼ばれる「赤」がなんといっても見どころになります。その赤が濃ければ濃いほど上級とされ最上のものを「貴」と表現します。鶏血石は赤色のランクによって「上級」「珍品」など様々な呼び名があります。こういったことは作家作品でも見られ自身の作品に銘をつけることと似ております、つまりそれだけ往時の印材愛好家にとっては貴重な石であったことの証左でもあり、そういった愛好家が支持し続けたからこそ現在でも鶏血石は美術品として確固たる地位を築いていることかと思われます。

変化

鶏血の斑が濃厚である点も鶏血石を評価するうえで重要なポイントになります。これは日本の備前焼などにみられる「窯変」などに表れるグラデーションの妙味が古美術品としての景色として評価されているものと思われます。また鶏血石は印材の中でも硬度の高い石でもありますが環境の変化に流されることもあり置物として飾っておくと色合いが変化することもよくあります、その変化を景色と見られるか、劣化として見られるか、にもよって評価は様変わりする点も古美術品の妙味と言えます。

 

硬度

印材は硬度が低いほど篆刻に向いており硬度が3以下の鶏血石は篆刻にも使われます。また田黄、芙蓉に比べて気品という意味では劣っており篆刻にも使いやすい面があるかもしれません。ちなみに鶏血石に似て非なる石があり、昭和初期頃に流布した「新鶏血石」なる印材もあります。昌化石である場合は肌がカサカサであるので見分けは簡単ですが贋物に近いものもあり濃灰色で製作されているものあり昌化石ですらないため注意が必要です。多くのリサイクルショップが掲載している鶏血石はこの場合が非常に多いです。

 

鶏血石を売るポイント

保存状態

鶏血石に限らず硯、掛軸、墨などにも言えますが保存状態が良好であるか?という点はかなり大事です。どれだけ歴史のある高価な美術品であっても一番大事な見どころが破損していては査定が大きくマイナスになります。例えば硯の見どころである「眼」が破損していては期待している査定額には届かないどころか値段がつかない可能性もあります。

血の色は濃いか?

鶏血石の血の色がどれだけ濃いか?まだグラデーションが美しいか?など様々な見どころはあります。これは中国人の嗜好性に大きく鑑みるところでもありますが日本人が「詫び寂の文化」であることに対して中国人の嗜好性ははっきりしていることも大きく関わっております、中国人の観光客が原色が大好きなことに対して日本人の服飾文化は根付などに表れるように「秘するが花」という側面もあることが大きく国民性の違いとして顕現しております。ですが大前提として鶏血石は贋物、コピー品が非常に多い分野の石でもあります。

当時の領収書などはあるか?

古美術品一般にいえることですが例えば横山大観の絵画を一見して査定することは困難です。多くの買取業者はどこで購入したのか?信頼のおける古美術店か三越などのデパートで購入したのか?などと聞かれることがよくあります。これが良寛、白隠などの古筆になるとさらに難しい面もありますが「出所」を明らかにしたうえで物自体を確認しながら多角的に査定をしていくことが多いです。その場合当時購入した領収書があると買取業者も査定額をあげることができます。もちろん外部的な資料がなくとも客観的な査定額を出すべきですが古美術品であればあるほど精巧な贋物も多く難しい面もあります。

箱はあるか?

なるべく当時購入した箱がある場合が望ましいです。箱と言っても様々ありますが古い印材の場合その時代に造られた時代のある箱であれば客観的にも古いものであることの証左にもなります(もちろん後付けの場合もありますが)。またその道に通じた文化人が所持していたことを証明する箱書き、もしくは本体に銘などがある場合は本体に付加価値が付きます。例えば硯の裏面に清朝期の文人が銘を入れている場合がよくありますがこのような現象が書道具だけでなく古美術品には存外ある話しでもあります。

 鶏血石の相場は?

印材一般に言えますが時代がある印材は高価買取が出来る場合があります。鶏血石も時代のある箱に入っていて血赤であれば100万を超える査定ができるものもあります。反対に近年鶏血石を模倣した印材の場合は当時の購入金額が100万円でも値段がつかないこともあります。こういったことは印材だけではなく古美術品、絵画、着物の世界でも頻繁にみられる現象でありますがこのような世界の商品は売るために買うこと自体がもともと難しい面もあります。

 

 

鶏血石を売る為のまとめ

鶏血石に限らず田黄、芙蓉石などの印材は他の古美術品に比べて研究がだいぶ遅れている面もあります。参考になる著作が少なくまだまだ発展途上の分野ともいえます。古美術界がそのような状況なので買取業者を選択するにも細心の注意が必要です。買取業者の査定も間違っていることもありますが御自身が購入された鶏血石が贋物である場合もあります。発展途上のジャンルでもあるため難しい面もありますが多くの業者に相見積もりをとってみることをお勧めいたします。

しかしながら印材の魅力ははそもそも物が小さく手の平サイズのものが殆どであるにも関わらず、その限られた面積、体積の中に表現される色合いや石の質、紐の彫刻、そして何より篆刻家の情熱など様々な見どころが多く印材の愛好家にとっては絵画を鑑賞するのに匹敵する小宇宙が存在している美術品でもあります。

今後も鶏血石を始めとした印材の研究、発展が進むことを期待しております。