03-3562-1301

ブログ

2020.03.11

【端渓硯の買取】中国の硯を売る前に知りたいこと

参考買取価格20万円

端渓硯の買取について

端渓硯を始めとした硯の買取のご相談で一番多い話が「端渓硯を所持しているのですがいくら位で売れますか?」といったご相談をよく受けます。硯は和硯、唐硯から現代の作家作品まで多岐に渡りますが多くの蒐集家、書道家が所持している硯は端渓硯が多いです。それだけに端渓硯に関する質問も多く、様々な買取業者にお話を聞いている方も多いと思いますし、和硯よりも中国の硯は豪壮な作品も多く、また時代のある硯もありなにか高く売れそうな雰囲気も確かにあります。こういった硯を目の前にして自宅にある中国の硯は売れるのか?売れるとしたらいくら位なのか?と悩まれる方も多いです。ここではそういった端渓硯を始めとした硯の査定額、買取額に関して説明していきたいと思います。

 

端渓硯とは?

端渓硯は中国の硯で中国4大硯のひとつです。端渓硯の他には歙州硯、洮河緑石硯、澄泥硯などがあります。端渓硯とは中国広東省に産出された端渓石を素材とする硯の名称になり初唐に顕現しており当時から時の皇帝に献上されるほどの美術品でもありました。時の皇帝に献上されているほどの美術品ともなればその下の官僚たちの間でも珍重され、やがては賄賂としても流通するようになります。こういった現象は現在も中国では続いており多くの美術品が政治家の道具になってしまう側面も事実としてあります。また唐時代になり実用と観賞を兼ね備えた側面もある端渓石は爆発的な人気になります、端渓硯は墨のおりがよく発色も良いことから当時も人気を博し当時の詩人も「端渓石硯、人間に重んぜらるる」や「端州の石工、匠なること神のごとし」と最大限の賛辞を送っています。宋時代になり現在の長方硯の原型ができあがります、宋時代には端渓硯、歙州硯が多様な形式を見せ端渓においては「天然硯」や歙州硯においては「卵様硯」など素材によって様式が分別されはじめたのもこの頃です。

硯に限らず陶磁器も中国は宋時代が極上とされていることは周知の事実で無駄な装飾を省いたその作品は日本美術の詫び寂にも通じた価値観があります。この時代以降多くの華美な装飾を施した美術品が製作されますが最後は宋時代の作品に帰結するのかもしれません。そういった意味では端渓硯の買取の質問が多いことも頷けます。

 

端渓硯のライバルについて

端渓硯の買取と同じく歙州硯の買取についてのご相談もよく頂きます。歙州硯は端渓硯と共に古来より二大名硯として名高い硯でもあります。歙州硯は文人、書道家に愛玩されてきた端渓硯に比してどうしても地味な面がありますが硯面に配された金暈、銀暈などの美しさは郡を抜くものでもあり美術的価値という面においては端渓硯に勝るとも劣らない硯だと思います。また金暈の紋様の現れ方によって羅漢図と見立てる作品もあり偶然のたまものが芸術に表現されている様は信楽焼などにみられる窯変に通じるものを感じます。歙州硯は南唐から宋時代にかけて隆盛を誇りますがその後時代の変遷により端渓硯と名声を二分し時代により端渓硯と歙州硯が名声をお互い譲り有ることもあり、ある意味でライバル関係とも言えます。歙州硯は多くが宋時代に出土されたものが多く、また端渓硯に比して圧倒的に数が少ないため研究も進んでいないのが現状でもあります。今後さらに歙州硯の研究が進めば端渓硯をまた脅かす存在になるかもしれません。

 

端渓硯の見どころとは?

 宋時代から現代にいたるまで端渓硯の最大の見どころは「眼」といわれております。「眼」とは石蓮虫の化石だとするのが通説でもあります。それが鳥の目の形状に似ていることから「眼」と命名されてきた歴史があります。眼に関して唐時代に編纂された文物書には「端石には眼のあるものが最も貴い、一般の人はこれを知らずして石の病としているものがあるが嘆かわしいことだ」と記されております。また「眼」にもいくつからランクがあり通常よりも楕円形のものを「猫眼」、黄白色のものを「象牙眼」。赤みがかかったものを「珊瑚眼」など様々な分類がされている点も「眼」が愛されてきた特徴でもあります。このように古来より珍重されてきた「眼」ですが近年では後から張り付けたコピー品も多く鑑定が非常に難しい面もあります。

 

氷紋

氷にひび割れが生じたときに見られる景色からその名称がつけられており、端渓硯の貴重な見どころとして高く評価されています、白色に近ければ近いほど古美術的価値が高まります、氷紋も美術的価値が高いことから後付けで装飾されることもあり鑑定を難しくさせる一要因となっている面も残念ながらあります。

 

火捺

端渓硯に特有の模様で赤~青みがかった紋様です。火捺は採色が様々で同一のものがないため、そういった現象も多くの硯の蒐集家に愛された理由です。しかしながら観賞用としては愛されていても墨を擦るときには困難であるため実用としては不向きな面もあります。

 

金線、銀線

硯面に表れる金色、銀色の線を指します。唐から宋時代の端渓硯には殆ど見かけませんが清朝期以降に顕現します。通常は1.2本の線が入っている場合が多いですが新硯になると数十本の線が入っていることもよくあります。

玉点

端渓硯にみられる白い点のことを指します。水岩抗によく出るものなので玉点があるこどが水岩抗の証左である、という方もいますがこれも後の時代に装飾されることも多く一概に言いきれない面もあります。

 

高額査定が期待できる端渓硯とは?

1古端渓硯である

端渓硯の買取に関しては時代性が大きく関わってきます。硯、墨、筆、和紙に限らず美術品は時代があるか?という点で査定額が大きく変わります。端渓硯に関しては初唐から出現しているため大変歴史の深い硯となります。一般の方が古硯と新硯を判別することは難しいかもしれませんが一見して古そうなものに見える、という点も大事な観点かと思われます。さらには古い時代の箱に収納されているかどうか、という点も当時の時代を感じさせる客観的な証明にもなりますので付属品として箱がついている場合は必ず一緒に査定に出した方が高額査定が期待できます。また時代のない若い硯であっても現代作家が作製していた硯である場合は話が変わり、その場合は作家作品として査定されます。これは硯に限らず工芸品、絵画などに近い感覚になります。

 

2見どころはあるか?

古端渓硯という以上時代があるのは大前提です。一般に200年前に製作された硯を「古硯」、100年前に製作された硯を「旧硯」、近年製作された硯を「新硯」と呼びますがやはり「古硯」であることが望ましいです、さらに先ほど説明した「眼」、「金線」、「銀線」、「玉点」、「氷紋」などは古美術品としてのみどころになるため高額買取の「加点」として大きくプラスされることになります。こういった現象は中国陶磁器、掛軸など古美術品にも言えますがただ古いだけでなく古陶磁の絵付けや釉薬の流れなども加点ポイントになることと似ております。

 

古端渓硯を売りたい方へのまとめ

中国の硯は世界中探しても出てこないような名品が多く和硯は中国の摸倣をしていることから始まっているため硯の王様は中国硯であるといって間違いありません。まずは古い端渓硯であることが前提であり、尚且つ見どころ、景色などがありますと大きく査定額はアップします。しかしながら古端渓硯は高価なものでもあるため贋物、コピー品が多く出回っているため買取業者の選択も悩む面もあります。古美術品である可能性があるならライン、メールなどで気軽に相談できる時代でもありますので一度査定に出してみてはいかがでしょうか?