【書道具墨の売却】古墨と現代墨の違いって?墨を高く売るには?
古墨(こぼく)を売りたいと考えている方はいらっしゃいませんか?
古墨とはいったいどういうものなのかや、高額買取のポイントなどを解説します。
所持している古墨がいったいどれほどの価値があるのか分からなくて困っている方、古墨などの墨を高く売りたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
古墨(こぼく)とは
古墨とは、その名のとおり、古い墨を指します。
墨とは、なたねなどの油や松根を燃やしてできた煤(すす)を、膠(にかわ)で固めたもので、主に書画に使用します。
文房四宝(硯・紙・筆・墨)における墨の中でも、製造されてから長い年月を経ているものを古墨といい、品質の良い墨とされています。
日本製の墨を「和墨(わぼく)」、中国製の墨を「唐墨(とうぼく)」と呼び、本来は唐墨は清時代までに、和墨は江戸時代までにつくられたものを古墨と呼びますが、その定義でいうと、古墨は現代では殆ど入手不可能となってしまいます。
このことから、実際には10年以上前に作られた墨を古墨とし、逆に作られたばかりの墨を「新墨」と呼び区別することもあります。
古墨と呼ばれる墨の条件は、まず良い原料と良い製法を用いていることが大前提です。
いくら長い年月を経ていても、原料が粗悪なものであったり、製法に手抜きがあったりすれば、古墨とは呼べないことも留意しておきましょう。
墨の歴史
現代では手軽に使える墨汁なども出回っていますが、墨の歴史は固形墨からはじまりました。
起源については諸説ありますが、紀元前には既に存在していたといわれています。
中国から日本に墨が伝来したのは奈良時代といわれており、「日本書紀」に記載されている墨の記録が最も古く、610年に高麗の僧・曇徴(どんちょう)が来朝した際に、松脂を使う「松煙墨(しょうえんずみ)」の製法を伝えたと言われています。
紙と同時期に伝わって来たのではないかと考えられていますが、古墳時代の壁画などに墨らしきものが見えることから、もっと古い時期に海外から墨が伝来していた可能性も指摘されています。
墨の原料
煤(すす)
明代までの墨は松煙墨、清代になって油煙墨がよく使われるようになりました。
松煙墨の煤の採り方は松の樹の幹から松脂を採取し(3~4ヶ月かかる)し、それを燃やし、その煤を小皿のような蓋で受け止め、付いた煤を鳥の羽ですくい取るように集めます。
油煙墨は、菜種油、胡麻油、椿油などを小皿に入れ、灯心を立てて燃やし、煤を採取します。
膠(にかわ)
膠(にかわ)は獣や魚の皮、骨、腸などを煮て作られます。日本では獣、中国では魚の膠が多く使われています。
良い墨の絶対的な条件である、書き心地の良さは、膠の品質によるところが大きいとされ、膠は煤と同じくらい墨の品質にとって重要な原料です。
香料
膠のにおいを消すために香料が使われています。
墨を磨ると良いにおいがするのはこのためです。動物性の香りとしては麝香(じゃこう)、植物性のものでは龍脳(りゅうのう)が珍重されます。
古墨と現代墨の違いって?
墨は寝かすほど良いとされており、古墨と新墨(現代墨)では、書き心地や表情に違いがあると言われています。
古墨の主な特徴は下記のとおりです。
・墨色が美しい
・筆が暢びて書き心地が良い
・筆の通過した跡と滲み(淡い色)との差が、乾くと明瞭になる
墨は、出来立ての時は粘り気があり、墨色も冴えないといわれ、だいたい20年から100年にかけてが最もよい墨色を見せるとされます。
古墨は運筆が軽く、微妙な墨色表現に重宝されているため、著名な書家が希少価値の高い古墨を好んで使用しています。
それゆえ、古墨は骨董としても大変人気の高いジャンルなのです。
現代墨の有名メーカー
古い技法を現代まで受け継ぎ、墨を作っている日本のメーカーをご紹介します。
古梅園
創業は1577年。
製墨法が最も発展した江戸時代、幕府の許可を得ながら、中国の造墨家と交流して、墨の研究を重ね、より一層品質の良い墨をつくるようになり、その技を今に引き継いでいる奈良の老舗です。
呉竹精昇堂
創業は1902年(明治35年)。
本社は奈良市にあり、今でも墨が一丁一丁、職人の手作りで丁寧に作られています。
現在は墨のほか、多数の文房具を販売しています。
墨運堂
1805年に屋号「御坊藤(ごぼどう)」として墨の製造をはじめ、昭和25年に「株式会社墨運堂」が設立されました。本社は奈良市です。
本社には「墨の資料館」などもあり、現代に墨の歴史を伝えています。
墨を高く売るためには?
古い時代に作られた古墨は、骨董品として高い価値を持っている可能性があります。
古墨を高く売るためのポイントは下記のとおりです。
・唐墨の古墨(墨の中で最も骨董品としての価値が高い)
・古い墨(古墨)であればあるほど買取の価値は高い
・日本製の和墨よりも、中国製の唐墨の方が歴史的価値があり高値が付きやすい
・和墨は有名な墨匠や有名メーカーのものは価値が高い
・共箱や保存用の袋などの付属品がっていれる
100年以上前の古墨、中でも唐墨が最も価値が高いとされますが、20~30年以上前の古墨が
高価買取されることも珍しくはありません。
日本の墨でも、著名な墨匠の墨や、前項に記載した古梅園・呉竹精昇堂・墨運堂などの有名メーカーの墨であれば、一般的な墨と比べて高価買取も期待できます。
また、価値の高い墨は木箱や桐箱、保存の袋などに入って保管されていることが多いです。
付属品も大切に保存しましょう。
汪近聖
汪近聖(おうきんせい)は1692年に生まれ、中国・安徽省績渓県出身の清の乾隆時代に活躍した墨匠です。
汪近聖が作成した古墨は、高値で取引されます。
汪近聖と同じ時代に活躍した墨匠、汪節庵(おうせつあん)、胡開文(こかいぶん)、曹素功(そうそこう)と合わせて清代製墨の「四大家」とも呼ばれています。
汪近聖の出身地、中国の安徽省では良質の水・松・膠・漆が採取できました。
墨を作るためには適した条件が揃っていたことから、古くから墨作りが盛んに行われており、作られた墨は大変高い品質で、人気がありました。
やがて他の墨と区別するために「徽墨(きぼく)」と呼ばれるようになりました。
高値が付きやすい古墨の例
高額買取になりやすい古墨の主な例は下記のとおりです。
・乾隆御墨(文遡閣詩)
・乾隆御墨(彩墨)
・敬勝斉蔵墨
・胡開文
・龍鳳呈祥(程君房製)
・百子図(程君房製)
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古墨は、価値の高い物が数多くありますが、物自体の大きさが小さいこともあり、時代のあるものとないものの判別が大変難しい品です。専門の業者でないと価値がわからないということもよくあります。
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